飯野晴子の「生き抜くヒント」vol.3
歳を重ねれば重ねるほど人生は楽しくなる?
ー 人は歳を取ると、とかく思考がネガティブになると言われています。飯野さんは今年で74歳とのことですが、今までのお話を聞いているかぎり、物事をきちんと前向きに捉えられているようですね。
ええ。私の辞書にはポジティブしかないわ(笑)。
―それは潔い。
もちろん、過去を振り返れば後ろ向きになることは何度もありました。例えば2回目に結婚した相手が浮気をして、他に子供が生まれていた、とかね。あのときは気が狂ってしまうかと思った(苦笑)。でも、辛かったのは若かったからなのよ。今は覚えていません。いいことしか思い出さない。だから、加齢に怯えている人がいらしたら、私はきっぱり申し上げます。安心なさい。
―ちなみに、今、一番、楽しいと感じることはなんですか?
毎日、更新しているブログ。書きながら記憶を整理できるし、仮にちょっと嫌なことがあっても、ブログが自分の気持ちを見つめ直すきっかけになって、たいしたことじゃないと思い直せます。ただし、私は幼い頃にポリオ(小児麻痺)にかかって、その後遺症で今も左手が不自由なの。右手だけでキーボードを操作しなきゃいけないから、それがすごく大変ね。
―大変だからやめようとはならないのですか?
むしろ、脳トレにもなって一石二鳥だと思っています。
―やっぱり前向き。
そうね。ハンディキャップを抱えて苦しむ可能性もなくはなかったでしょうけど、幸い、私の親という人は私を過保護に扱わず、普通に世の中へと放り出したので、私はありのままの自分を受け入れて生きるように訓練された。かつては腕の太さの左右差を気にして、どんなに暑い日でも長袖を着るようにしていましたが、あるとき、それもバカらしくなってやめました。半袖だろうと七分袖だろうとお構いなし。「隠さなきゃ」という自分の思い込みが、自分の楽しみを制限していきづらくしていることに気が付いたんです。そうやって欠点に縛られている自分を解放してあげると、それまで触れることのなかった価値観を知り、心が成長します。
―飯野さんが髪を染めないのも、あるがままを受け入れているからですか?
ええ。白髪が混じるようになったのは45歳ぐらいからでしたが、私は一度も髪を黒く染めたことがないんですよ。当時は広告代理店に勤めていて、まわりにいろいろ言われるものだから、考えた挙句、金髪のメッシュにしましたね。以来、ずっとこのスタイルを貫いていますが、じつは最近になって少し黒くなってきたの。おもしろいわねえ。長いこと生きていれば髪は白くなるし、シミやシワができて当然。だったら、それを認めて、開き直り、許される範囲でヘアスタイルやスキンケアを存分に楽しむの。自分を停滞させるのも前進させるのも、自分次第。私はそう信じていますね。
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